貧乏オヤジ。

うちの父親は建具屋といって、襖や障子を作る仕事をしています。

 

僕が言うのもなんですが、技術はなかなかのもんです。

 

もうこの道40年くらいですからね。

 

納品先のお客はたいていできあがったものを見て喜びます。

 

いわば父親はお客を喜ばせることができる魅力的な商品をもっていたわけです。

 

…でも我が家は超絶貧乏でした。

 

まぁ、最大の原因はパチンコなんですが。

 

両親揃って、来る日も来る日も、朝から晩までパチンコしてました。

 

しかも何も考えずに打つから当然負けまくり。

 

よく怒ったドス黒い顔をして帰ってきました。

 

そういう日は必ず食卓は大荒れでした。

 

これまでに1000万くらい負けた、とこぼしていました。

 

しかしそもそものパチンコにはまった原因というのが、
仕事が減ってヒマを持て余したからというのもあります。

 

父親には確かな技術があるのに、まったくお客から注文がはいらないのです。

 

昔はそれなりに繁盛したようですが…今や閑古鳥です。

 

父親はそれを洋風建築の増加や、海外で大量生産された安い輸入品のせいにしていましたが、
僕が想像するに原因はそんなところにはありません。

 

父親は職人としての技術はありましたが、商人として才覚が全くなかったのです。

 

集客はほとんど近所の人達の口コミに頼っていました。

 

あとは電話帳に連絡先さえ載せておけば、勝手にお客がどんどん問い合わせてくるものと思っていました。

 

確かに昔は電話帳で調べるのが当たり前だったかもしれませんが、
今どき電話帳で業者を調べる人なんて、高齢者くらいです。

 

家を建てる世代、つまり20〜40代の人は、もっぱらインターネットで情報収集をします。

 

最大の見込み客層がすでに離れてしまった場所に、
いくら広告を出したって、仕事なんかやってくるはずもありません。
(永久不変の集客法なんてものはないのです)

 

そしてお得意様だった高齢のお客はどんどんあの世へ旅立ちます(汗)

 

そういう状況でただ手をこまねいていても、仕事は減って当たり前です。

 

せめてチラシでもつくればいいものを、そういう小難しそうなことには一切手をつけませんでした。

 

ただ職人的な頑固さで、いいものを作っていれば店は繁盛すると思っていました。

 

そして自分が作る商品より質の低いものが売れている現状によく憤慨していました。

 

まあ僕もただの学生だった頃は、そういうビジネスの知識がまったくなかったので、
父親と同様、稼げないのは時代のせいだと思い込んでいましたが。

 

無知とは恐ろしいものです。

 

商品力というのはあくまで売上を左右する
要素のうちの一つにすぎないのです。

 

むしろお金を稼ぐために重要なことは、
見込み客を集める力、そして商品を魅力的に伝える力です。

 

この2つがあれば、質の低い商品でも
何千万、何億といった売上を叩きだすこともできてしまいます。
(その後が大変ですが)

 

今なら僕もある程度Webマーケティングはできるので、
その気になれば父親の建具屋を再度建てなおすこともできるでしょう。

 

ちょっと調べたことがありましたが、
僕の住んでいた地域ではライバルも
父親と同レベルの経営者ばかりなので(汗)

 

あっさりネット上の見込み客を独占できそうな勢いです。

 

まぁやりませんけどね。

 

両親ともけっこう高齢なので、今さらガンガン仕事とって
馬車馬のように働かせたくないです。

 

趣味程度に細々やってもらって、足りないお金は援助すればいいと思ってます。

 

僕もずいぶん心に余裕が出てきたもんです^^

 

 

 

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